2020年3月、コロナウィルスの影響で、非正規雇用で働いていた我が家の家計にも大きな打撃がありました。
そんな時、正社員となるべく探していた求人の中に介護という仕事。知らずに飛び込んだ介護という業界でしたが、その中でも同じじゃないということを知った体験をまとめます。
訪問介護と施設介護の違い
私が最初に飛び込んだ介護という職種の世界が訪問介護。
訪問介護というのは、言葉の通り、実際に利用者さんが生活している居宅にお邪魔して生活支援を行うというもの。
施設介護は、居宅が施設になりますので、施設の中で生活支援を行うというもの。
この違いをしっかりと把握してから求人に応募しないと大変なことになります。訪問介護と施設介護では持っているスキル、過去の経験値などの違いにより、向き不向きがありますので、必ず確認してから求人に応募したほうがいいです。
訪問介護と重度訪問介護
訪問介護には、通常の居宅訪問介護もあれば、入浴介護、重度訪問介護などがあります。
私が最初に携わったのが【重度訪問介護】という世界でした。
重度訪問介護というのは、基本的に
重度の難病などで肢体不自由な方、知的障害の方、精神障害のある方などが在宅で生活するための生活全般の介助をする
というものです。
この重度訪問介護の仕事をスタートするには、重度訪問介護従業者養成研修統合過程という資格を2日間(約24時間)かけて取得し、働くことになります。
参考
2020年11月現在、重度訪問介護従業者養成研修統合過程の研修実施期間は3日間になっています。必ず、資格取得のスクールに確認してから受講してください。
上記の説明で大まかにはあっていますが、実際の重度訪問介護の支援時間というものは、利用者さんによって大きく異なります。
通常の訪問介護だと2時間以内とか1.5時間以内という感じで比較的短い時間での支援となるのに対し、重度訪問介護の支援時間は長めに設定されています。
私が関わらせていただいた利用者さんですと、8時間、10時間、13時間でした。しかも夜間見守りが含まれるため、1回の支援で13,000円以上の給料が支給されます。
この重度訪問介護従業者養成研修の統合過程という資格を取得すると、重度訪問介護で医療的ケアを行うための修了証をもらうことができ、看護師の実地研修を経て都道府県に許可申請し許可証が発行されると現場で医療的ケアを行うことができる特別な資格となっています。
施設の介護職員
今、私は特別養護老人ホームという施設で介護職員として働いています。
しかも、多床室という古い形態の特別養護老人ホームですので、とにかく忙しい、やることいっぱいという状況で、8時間の勤務でホッと一息つく時間もないほど忙しない毎日です。
現在、昔ながらの特別養護老人ホームでの多床室は希少となっており、徐々に古い特別養護老人ホームもユニット型特別養護老人ホームへと変わっていっているという現状があります。
参考
多床室というのは、1つの居室を4人の入所者さんが一緒に住まいとしている形態で、1つの施設には100人ほどの利用者さんが生活をしています。
私が勤務している多床室は50人の入所者さん(利用者さんと呼ぶのが正解でして…)に対して、約20人程度の介護職員がケアにあたっています。
この約20人は実際に現場でケアとしてあたっている介護職員のみ、介護補助員、清掃員、給食員、事務員は含まれておりません。
この中で正社員として雇用されている人は約70%で、基本的に夜勤できない人は正社員ではないそうです。(特例で、正社員として雇用されたあとに結婚し、育児のため夜勤できない人は正社員であっても夜勤を免除してくれるという制度があるそうです。)
勤務時間は8時間で、夜勤であっても8時間の勤務です。時間帯は6種類あってそれぞれがどの時間帯に入っても仕事ができるように研修制度が設けられています。
休日は120日/年あり、その他に有給休暇を5日必ず取得しなければならない決まりとなっているそうです。つまり、休みはとても多い法人であるということです。
シフトをみると休日は月10日必ず入っており、それを合わせて長く連休を取得することもできるため、割と働きやすい環境にあると言ってもいいと思います。
私の働いている施設ですが、ずっと多床室であるということはなく、ちょうど2年後にユニット型特別養護老人ホームへ建て替えが決まっていて、現在、利用者様ご家族に対して説明会を実施しています。また、工事スタートもまもなくとのことで近隣住民様への説明会も同時に行われています。
介護現場での体験談
私が重度訪問介護をスタートしたきっかけは、2020年流行したコロナウィルスの影響により、働ける場所がなかったからです。
とにかく少しでも条件のいい職場で短期でもいいから稼ぎたいと思って重度訪問介護従業者養成研修統合過程を受講し、資格取得後、タイミング良く支援に入ることができました。
ところが、重度訪問介護の支援では、身体介護に加え、見守りといういわば待機時間など仕事内容と利用者さんからの受けるなんとも言えない圧力に耐えられず、それに加えご家族に対して気を遣う場面が多く、精神的に参っていた時期でした。
とある利用者さんは特に厳しく、常に先輩ヘルパーと比べられ、「○○さんに聞いてきて!」と言われる場面が多くなり、言葉を発することができない方だったのです。唯一できる舌打ちでいいとか悪いということを指示されるのですが、この舌打ちが多く聞かれるようになってきて、それが私には常に威嚇されている感じとなり、頭の位置、からだの位置などポジショニング一つするたびに、数ミリの違いに対して舌打ちで指示を出されることに、段々と精神的に苦痛と感じるようになってきました。
そんなタイミングで別の利用者さんが突然亡くなりました。
夜勤を終え自宅に戻り、仮眠をしているとスマホが鳴り、見てみると
○○さん、亡くなりました。今までご支援ありがとうございました。詳しいことは後ほどお知らせいたします。
という文字。
私が夜勤から戻ってすぐ救急車で運ばれ、そのままお亡くなりになったそうですが、上司は私のせいではないと励ましてくれましたが、こういうことが初めての私は自分を責めるしかありません。
この利用者さんのターミナルを直に体験したことで、介護をやっていく上で命と向き合うということがどれほど大切なことなのかを知ることができました。
介護職員初任者研修を受講して学んではいたものの、実際に体験するこのターミナルという事実に耐えきれずとても切ない思いをしました。
転職をはっきりと決めたのがこの時の出来事がきっかけです。
訪問介護は利用者さま一人ひとりに対して手厚いケアをしてあげられることはとてもいい仕事だと思っていますが、この訪問介護という仕事に関していえば、支援にあたるスタッフのスキルがある場合に限られると思っています。
介護職員として働いたことのない私が、ゼロからのスタートでいきなり訪問介護をはじめてみて、非常に難易度が高いと感じました。
転職の後押しをしてくれたのが介護職員初任者研修でした。認知症のことを学び、講師の方々がリアルに起こった現場での話を聞いているうちに、施設介護を経験してみたいと思うようになっていきました。
そんなタイミングで、介護職員初任者研修を受講した会社が転職コーディネーターをしているということで、施設見学をさせてもらうことになりました。
いくつかの施設を見学しましたが、最終的に自分が感じ取った職員の方々の雰囲気で面接申し込みをし、すぐに合格をもらい、現在の職場で正社員として働いています。
仕事としては、決められた支援をこなすという毎日ではありますが、日々、違いがあり、同じ支援をしていても、以前やっていた訪問介護のときのような嫌だなと感じることはありません。
周りにはたくさんの先輩方がいて、何でも聞いて構わないという職員の方々の丁寧な指導があるため、覚えるまで何度も聞いても嫌な顔をされることがないことにも救われているのかもしれません。
体は訪問介護とは比べ物にならないほどキツイときもありますが、精神面での辛さはほぼないので私には施設での介護があっているのだと感じました。